黒谷駅の東側にある小高い山(祝山)の岩肌に「和銅」の大文字が描かれています。
西暦708年、この地で採掘された自然銅が朝廷に献上されました(和銅奉献)。自然銅の発見は、当時の日本にとっては、とても大きな喜びであったと、元号が「慶雲」から「和銅」に変わったことからもうかがい知ることができます。
日本最古の流通貨幣と言われている「和同開珎」は、この自然銅をもとにして作られたとのことです。
さて、来年は「和銅奉献1300年」を迎えるとともに、秩父札所も「日本百番観音報恩総開帳」(平成20年3月18日~7月18日)を行うため、多くの観光客がお越しになられることと思います。そこで、市報では4回にわたり、誇るべき和銅遺跡をご紹介してまいります。
黒谷駅から程近い国道140号沿いに「和銅遺跡」を示す看板があります。この入口から進んだ左手に聖神社があります。この境内の宝物庫には、大小2つの自然銅や和同開珎、和銅製の雌雄一対の蜈蚣(ムカデ)がご神宝として収められています。
聖神社を過ぎ、さらに坂道を上ると「和銅露天掘り跡」の看板が見えてきます。この看板にしたがって、沢への道を下りていくとやがて巨大な和同開珎モニュメントが姿を見せます。目前にそそり立つ二条の断層面、これが「和銅露天掘り跡」です。1300年前、ここから産出された自然銅により、和同開珎が作られたといわれています。
また、この付近には「銅(どう)銭(せん)堀(ぼり)」「おき」「押(おん)出(だし)」など、それぞれ当時の銅の産出や運搬などにちなんだ地名が多く残っています。
和銅遺跡は、地元住民の手によって守られ、1300年もの永きにわたって、ほぼ当時のままの姿を現し続けてきました。
中でも「秩父市和銅保勝会」は、地元の住民や聖神社の氏子総代の方々などをメンバーに設立され、既に40年近く、和銅遺跡の保存・顕彰を精力的に努められております。
特に、和銅遺跡等に関する貴重な資料の収集・保存や、会報やホームページによる情報発信、見学者への案内業務や解説書等の作成・頒布などにおいては、めざましい事業展開がなされております。
さらには、毎月13日を「和銅の日」と定め、和銅遺跡周辺の清掃活動を中心に、景観整備のためのカエデの植樹などにも取り組まれております。
さて、秩父市では、今年、和銅奉献1300年を記念しての各種事業を計画しておりますが、「秩父市和銅保勝会」には、計画段階からも積極的なご協力をいただいております。
わが国に貨幣経済を誕生させた「和銅遺跡」。この貴重な歴史・文化遺産は、このような方々の手によって守り・語り継がれ、今後も脈々と継承されていきます。
問い合わせ 観光振興課 電話:0494-25-5209
和銅遺跡について、3回にわたって市報でご紹介してきました。
「和同開珎」という昔の貨幣の名前は歴史の授業で誰もが一度は聞いたことがあると思いますが、この歴史の一ページの裏側には秩父から産出された和銅が大きな役割を果たしていることは、今まで知らなかった方も多かったのではないでしょうか。
和銅奉献1300年を迎える輝かしい今年は、私達みんなでお祝いをしたいと考えています。4月1日には「黒谷駅」が「和銅黒谷駅」に改名するほか、4月13日(日)にはメインイベントである「和銅奉献1300年記念祝賀まつり」が行われます。これ以降も講演会、シンポジウムなども計画していますので、市報や観光ホームページ「秩父観光なび」でお知らせしてまいります。
なお、市内の各小・中学校の生徒とPTAの方には、この機会に和銅遺跡をご見学いただくようお願いをしたところです。
皆様も、私達の身近にあり、また誇れるこの歴史的遺産を一度訪れてみてください。
グループでまとまり、事前にご連絡をいただければ案内・解説などもいたしますのでご相談ください。